山里のまど

2019年4月より次女が親元離れて徳島の山奥で山村留学をしています。山村留学のことや山の暮らしについて書いてゆきます。

おららの炭小屋 初窯

父ちゃんです。

 

2019年2月10日

山里ステイの翌日、炭焼き小屋の「初窯」があるというのでお邪魔しました。

かつて山の暮らしに欠かせないものだった炭焼きの技術を絶やさないよう地域の炭窯を造ろうという想いで設立されたという場所、木頭北川の「おららの炭小屋」

今年初めて火を入れるということで地域の人たちが大勢集まっていました。

 

うん、まあ、そう言われても実際自分らの生活では木炭ってバーベキューの時にホームセンターで買うくらいで、正直そんなに身近でもないもの。

地域あげてこの炭窯を大切に管理している理由が最初はよくわかっていなかったのですが、色々話を聞いたり本を読んだり、山の暮らしの今昔を知るにつれ見えてくるものがありました。

 

日本昔ばなし」など、日本人の標準的なイメージとしてある「昔の暮らし」って稲作が中心で成り立っていた「平地」の暮らし。

それに対して木頭のような険しい山間部の暮らしは、田んぼも少しはあったけれど広い土地が無いので山で焼畑して雑穀を育てたり狩猟をしたり木の皮の繊維で衣服を作ったりと、より山の恵みに近い暮らしをしていたそうです。

そんな中で塩など、どうしても地域外からしか得られない物資を購入するための換金商品として山の木材とともに木炭は大事な産業であったといいます。

今の暮らしからは想像するのが難しいですが、石油やガスや電気の無かった時代の燃料と言えば炭が主流だった訳で、考えてみたらわかるのですが人口の多い平地の裏山で必要なだけを賄い切れる訳などなく、木材の豊富な山村での炭焼きには大きな需要があったということです。

 

もちろん、知っての通り近代に至って急速に木炭の必要性は失われてゆくのですが、この山深い土地では比較的最近まで(今もある程度)木炭が生活の中にあったということで、今のお年寄りの世代にはその強い記憶が残っているということ。

「木の種類によって燃え方が違う」など十を超える種類の木の見本を前に聞くと、この知識を継承することの大切さを実感します。

火を使いたかったらガスや灯油があるし、炭が必要ならホームセンターに買いに行けば良い世の中ですが、すぐ近くにある山の資源を無視するのは果たして合理的なのだろうか?などと考えてしまいます。

一般的には時間や手間がかかることは非合理だと言われていますが、どこか遠い国から運ばれてきた燃料をお金と交換して得ることと、手はかかるけれど地域の中で調達できるエネルギー源を使うこと、どちらが「合理的」なのか?比較する目線を変えてみると今まである種の思い込みにとらわれていたことに気づきます。

そういう資源を山から得る術も継続しないと失われてゆく訳で、こういう炭小屋があることの価値というのは思った以上に大きいのだなと、二度目の訪問にして気付かされたのでした。

 

と、まあ、山村留学と離れたようなことを長く書いてしまいましたが、こんな話にもここにある「異文化」を印象づけられたのです。

都会と山村、漠然と人が多いか少ないか程度に考えていたのですが、元々が全然違う生活観を持っていたのだなあ、と。

そう考えるとここで学べるものは「自然の中の田舎暮らし」という程度に収まるものではなく想像以上に大きいのかもしれない、下手に外国行くよりも大きな体験ができるのいかもしれない、そう思うようになりました。

 

さて、「初窯」。

どのような行事か全然知らずに誘われるままに来ただけだったのですが、人形浄瑠璃「木偶舎」さんもはるばる来てくれて祝いの演目を行ってくれたり、ちょっとしたお祭りでした。

ああ、よそ者なのにこんな地域の大切な行事に紛れ込ませてもらえて貴重な体験ですわなあ、とか思っていたら「あんた音楽やってるんだったら何か一緒にやれ」と、よくわからないまま自分も参加することに。

全くもって、人形浄瑠璃なんて異文化どころの話でないくらい門外漢な訳だし、そもそも音楽に関しても果たして門内に入れてもらえてるのかどうか定かでない怪しげな漢である自分になにができようか。

ここで下手をこいて今後長い付き合いになるかも知れぬ木頭の方々に「何だあの腑抜けは」と悪印象を与えてしまったら、恐らくこの地での扱いは自分より頻繁に現れる猿や鹿以下が確定なのです。

そんな瀬戸際にいきなり立たされてしまった訳ですが、幸いにも演目の出来を左右するような役割は与えられず、「大体こんな感じだから適当にやって」と軽い打ち合わせ程度で太鼓叩いて囃子で参加。

「適当に」と言われるのは非常に有り難い話で、何せ元々適当にやる以外のことができない人間なので、それなら任せなさいと全力で適当に、ニコニコやっていたら、罵倒されたり石投げられたりすることもなく、拍手など頂いたので自分としては良くやった方かと、猿はともかく鹿程度の地位程度は確保できたのかなどと安心しております。

 

思いがけず地域の人たち多くとお話する機会ももらえて貴重な機会でした。

偶然にもこの日帰ってバーベキューの誘いを受けていたので木頭の炭をどかっと購入して帰宅。

長く燃える良質な木炭で牡蠣を焼き、徳島の酒を飲んだのでした。

 

olala.jp

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