山里のまど

2019年4月より次女が親元離れて徳島の山奥で山村留学をしています。山村留学のことや山の暮らしについて書いてゆきます。

親子が離れて暮らすということ

母ちゃんです。

山村留学を決めるにあたって、たぶん、本人的にいちばん心配だったのは「家族と離れて暮らすのは寂しいんじゃないか」ということだと思います。

家族大好きなつむちゃん、とくに母ちゃんとは一心同体みたいなところがあって、赤ちゃんのころからぺったりくっついて育ってきて、わりと日常的にラブ全開アピールしてくれていました。その反面、些細なことでしょっちゅう母娘バトルが勃発。お互いに辛うじて手までは出さないものの、ちょっとここには書けないような暴言が飛び交うことも少なくありませんでした。

私自身も、「可愛い可愛い大好きだああああー」という瞬間と、「ああもうしんどいめんどくさいいやだー」という瞬間とを、けっこうな振れ幅で行ったり来たりしていて、感情がなかなか忙しい。

そもそもなんでしょっちゅうバトっていたかというと、なかなか宿題やらないとかお手伝いしてほしいときにしてくれないとか部屋を散らかすとか、「母ちゃんが〇〇してくれなきゃヤダ!」とか、子どものいる家庭では超あるあるなあれこれなのですが、

結局のところ、そんなのは親の側にも時間や心の余裕があればなんてことないんだろうな、と。

ちゃんと子どもの要求に応えてやれよ、子どもの目線に立ってじっくり言い分を聞いてやれよ母ちゃん。と、今の私なら思うわけですが、

1年前の現実は、仕事やら家事やらなんやらでくたびれて、そうそう子どものペースには合わせずあれこれ小言ばかりの母ちゃん。そして決して母ちゃんの都合のいいようには動かない娘。そのうちキレる母ちゃん→バトル

の無限ループ。

これはね、ちょっと環境を変えて、お互い距離をおいてのんびりしてみるのもありなんじゃないかな?

 

とはいっても、通常営業のときはわりと相思相愛な2人。ほんとに離れてやっていけるのか。

でも母ちゃんは知ってた、つむちゃんの環境適応能力がけっこう高いことを。私の仕事の都合やなんやで、小さい頃に何度かおばあちゃんの家に預けたこともあったけど、行く前はヤダヤダ言うわりに、行けばチヤホヤされてごきげんで、1人でもちゃんとおりこうに寝てた。

誰も知り合いがいない状態でスイミングスクールに通い始めたときも、ダンスチームのクラスが変わったときも、すぐに馴染んで子ども同士仲良くなってた。

そして家族みんなといるときと比べて、母ちゃんが出張で不在の日は割合しゃんとして、自分のやるべきことをできてるらしいということも。

保育園に行ってたときは、担任の先生と毎日顔を合わせるし、送り迎えのときに他の子の親と立ち話する機会もあったりして、他の人の目を通した我が子の話を聞くことも、他の子の中にいる我が子の姿を見ることも多かったのですが、小学校に上がるとそういう機会がぐっと減ってしまいまいます。そして家の中で「親子として」向き合ってばかりでは見えなくなってしまう子どもの一面もたくさんあると思います。

いま留学先でつむちゃんがいろんな人とかかわることで、これまで忙しい生活の中でつい埋もれさせてしまっていたつむちゃんの「いいところ」をたくさん引き出してもらっているなあ、と感じます。会えばいつもの我が子なんだけど、離れてみて、第三者の視点を通して発見できる子どもの「いいところ」や「らしさ」は必ずある。

子育てにかかわってくれる「第三者」の存在は、ほんとにありがたいです。

 

さて、12月に見学に行って以来、わりと「山村留学に行くモード」になってたつむちゃんですが、最終的にあっさり決断したかというと、回答期限の2月末ギリギリまで迷ってました。

山村留学には興味がある。でもやっぱり、家族と離れるのは寂しいらしい。

私と夫が「迷うなら、1学期だけお試しでも行ってみたら?」と背中を押していたのもまあそうなんですけど、

最終的に「行く」と自分で決めた、その気持ちの向こうには何があったのか。

 

本人に聞いたわけじゃないので影響があったのかどうかはわかりませんが、つむちゃんが好んで読んでいた物語の主人公は、わりとみんな若くして親と離れて暮らしています。

魔女の宅急便」のキキは、一人前の魔法使いになるために13歳で旅に出た。

ハリー・ポッターは、11歳で育ての親の家を離れてホグワーツ魔法学校での寮生活をはじめた。

竜巻に飛ばされて不思議な国を旅する「オズの魔法使い」のドロシーも、たぶんつむちゃんくらいの子どもだった。

私も子どもの頃愛読していた「長靴下のピッピ」。世界一つよい女の子ピッピは9歳で、身の回りのことはすべて自分でこなし、立派に一人暮らしをしてた。

子どもの頃、親と離れて暮らす子どもが主人公の物語を読んだりアニメを見たりして、主人公に自分を投影したり、夜ふとんの中で「子どもだけの生活」を想像してちょっとワクワクしたことはありませんか?私はあります。

つむちゃんが山村留学に「行く」と決めたということは、不安にワクワクが勝ったのかな。

 

そういえば、山村留学に行く前につむちゃんは「(大好きなつむちゃんと離れたら)母ちゃん寂しくて弱っちゃうんじゃない?」と心配してくれていました。

私は内心、(ちょっと寂しいかもしれないけど、自由な時間が増えるぞ♪)と思っていたので「大丈夫!」と答えていたのですが「本当に?本当に大丈夫??弱って病気になったりしたら絶対にダメだからね!」と念を押す娘。

その時は、ほんとは自分が寂しいくせにー、母ちゃんを甘く見んなよー。と思っていたのですが、いや、やっぱり甘いのは母ちゃんの方でした。

つむちゃんが木頭に行った後は、想像してた以上に、寂しかった。

 

つい1日に何度も結遊館のfacebookページをチェック。

 

そこには、どんどん留学先での生活に馴染んで、楽しそうにしている我が子の姿が。

 

最初は週に2回も来ていたお手紙の間隔もだんだん伸びていき…。

 

いつもつむちゃんが小学校から帰ってきていた夕方4時を過ぎても毎日しーんとしている我が家。

 

ああ…、仕事がはかどるなあ。(注. 母ちゃんは在宅ワーカーです)

 

 

日が暮れて、お姉ちゃんが中学校から帰ってくる。

「ただいまー!あれー?つむちゃんはー?つむちゃんどこー?」
(↑お姉ちゃん定番のボケ。毎日やってた。)

 

 

家に残った家族は、やっぱりちょっと寂しいのです。

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