山里のまど

2019年4月より次女が親元離れて徳島の山奥で山村留学をしています。山村留学のことや山の暮らしについて書いてゆきます。

いやしの里 増川笑楽耕

9月21日~23日 


9月の連休につむちゃんたちと泊まった宿は東みよし町旧三好町増川の「増川笑楽耕(ますかわしょうがっこう)」

廃校になった旧増川小学校の敷地を利用した宿泊施設です。

 

山村留学を検討し始めた頃から、いわゆる過疎地の現状に目を向けるようになった中で、特に気になったのが学校がものすごい勢いで減っていること。

高度成長期の頃は集落ごとにあった学校が統廃合されて今では町村単位で一つだけなんてことも珍しくありません。

つむちゃんの山村留学も、元々は北川小学校で行っていたものが、3年前にその北川小学校が休校となったため、現在旧木頭村全域でも一校だけ。

10キロ以上離れた木頭小学校にバスで通うようになっています。

2005年に5町村が合併してできた現在の那賀町に当時9校あった小学校が今では4校。

街で暮らしていると見えてこない部分ですが、過疎地では深刻さを感じるくらい急速に子どもが減っているのです。

 

山村留学で木頭と関わるようになって同時に知ったのは、そんな集落の学校というのは地域で本当に大切にされていたということ。

そもそも北川小学校の山村留学が始まったのもこの小学校を存続させたいという地域の人たちの熱意からだったと聞いています。

北川小学校が休校となった今でも春のお花見や秋の運動会を小学校の敷地で行っているとことからも、学校を中心とした地域の結びつきのがいかに大事だったかを思い知らされます。

 

それぞれ地域の人たちの想いが籠った学校だから、廃校となってもその跡地を何らかの形で活用したいという動きは各地であるようで、四国でも廃校を宿泊施設や研修施設として利用しているところ各地に色々とあります。

せっかくだから今回の集まりもそういう場所に行ってみたい、ということで探してきたのがここ「増川笑楽耕」。

 

この増川集落は三好市の市役所のある阿波池田の町からも10キロくらいの場所。

木頭のようなアクセスのしづらさはないのですが、旧三好町の中心地から細く曲がりくねった山道を10分くらい走った後の山中に家々が点在しているという環境で、元々の人口が少なかった上に若い世代が出ていったために20年前に休校、今は小中学生の世代の子どもは1人もいないそうです。

過疎の一番の要因は「仕事がないこと」だと思っていましたが、この増川は三好市美馬市というこの地域の市街地に十分通える位置にありながら、やっぱり若い世代はいなくなってしまうということにちょっとショックを受けました。

「街が近いと気軽に帰れるからむしろ安心して地元を離れてしまう」というのはよそで聞いた話ですが、ここでもそうして働き盛りの世代が離れてしまっているのかもしれません。

故郷のことは気になるけれど山の生活は不便、生活の拠点は街に移して折々空き家や畑の手入れに戻る、という形をとりやすいということのようです。

自分たち街の人間から見れば、慣れ親しんだ土地で自然に近い暮らしができて仕事は街に通勤することができるなら、それは恵まれた環境だと思ってしまうのですが、そうはなっていないのを見ると複雑な思いです。

 

「増川笑楽耕」管理人さんに聞くと、以前は100世帯くらいあったのが現在は20世帯弱。

子ども世代は1人もおらず、ここでは若手に見える管理人さんは30代くらい?彼の同世代も「ほとんどいない」そう。

 管理人さんの家には商店の看板がかかっていますが、人が減ったのでもう店はやめてしまったということで、この集落の商店は他に無く買い物は麓の街に行くしかありません。

そんな条件に加えて、人が減るということは集落の諸々を維持することに対する一人一人の負担も大きくなってくるでしょうから、目に見えない困難も多いのかもしれません。

過疎の問題は仕事の有無や街からの距離だけではないのだと知り、また色々と考えさせられました。

 

さて、この「増川笑楽耕」ですが、窓口団体が「増川の活性化を考える会」ということからも、地域の人たちがこの学校であった場所を大切にしていることが伝わってきます。

今時なかなか見られない趣のある木造校舎。

こちらでそば打ちやこんにゃくづくりなどの体験メニューが行われているそう。

学校の校舎がそのまま宿泊施設になっているところもよそではあるのですが、ここは校庭に建てられた3棟のコテージがあって、各定員4名。

2棟借りたのですが、どちらも綺麗に管理されていて居心地良いです。

部屋が6畳で布団4組使えて、キッチンには一口の電気調理器、冷蔵庫、炊飯器に鍋やフライパン、食器もあらかた完備。

ユニットバスの風呂トイレも建物ごとにあります。

これで1泊1万円なので4人で使えば格安です。

同じく校庭に設置された屋根付きの炊事場でバーベキューができて、こちらは使用料500円。

2日目の夜は雨だったのでこの「屋根付き」に非常に助けられました。

今回は使わなかったけれど、校庭の端には五右衛門風呂、さらに炭窯があって炭焼き体験もできるというので面白そう。

木頭みたいに山の達人がいるのだろうと想像してしまいます。

 目の前の増川谷川は細い小川なのですが、ちょっとした水遊びができるようせき止めてあって、6月くらいにはホタルが沢山見られるそうです。

 

 徳島道の井川池田インターから車で15分くらい、祖谷や琴平にも近くて便利な場所ですが情報が少ないようなので(だから直前でも予約できたのかな?)ちょっと紹介してみました。

 

いやしの里 増川笑楽耕

東みよし町東山字増川264‐2

予約・問い合わせ 増川の活性化を考える会(藤本)0883-79-5582

 

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